バラスト水とは?

貨物船は荷物を積載し、返ってくる際にバランスを保つために「バラスト水」を補給します。このバラスト水の中には積んだ国の生物が含まれ、また別の国で排出されます。これにより生態家のかく乱が生じることが問題となっています。

資材や荷物を運ぶ手段としては、陸路や空路だけではなく海路がかなりの割合で利用されています。その際には大型貨物船やタンカーが使用され、一度に30万トンほどの物資を運ぶことができるものもあります。

運んだ後にそのまま帰ろうとすると、域と帰りで積載量に大きな違いが生じることになります。荷物を積んでも沈まない構造となっているために、からの状態では浮きすぎる状態になってしまうのです。

そのため、荷物の代わりとして「重石」として海水を補給することでバランスを保ちます。この補給される海水のことを「バラスト水」と呼びます。

バラスト水自体はただの海水なのですが、これを積んだ国と排出する国が異なる、というのが大きな問題なのです。当然バラスト水には、積んだ国の海水に含まれる生物が存在していることになります。

輸送中に死んでしまう生物もいますが、逆に増殖する生物もいます。これを何も考えずに排出してしまうと、排出した水域に異なる生態系を持ち込むことになります。多くの場合は排出する水の量も全体からすれば小さいので、その水域の生態系に大きな影響を与えることはありません。しかし、生存力の強い生物が含まれてしまうと現地で増殖し、生態系を乱してしまうのです。

安定した生態系に異なる生態系の生物が流入すると、単に生物ピラミッドの構成が増える、というだけでは済まされなくなります。
生態系は非常に複雑な相互作用のもとに、奇跡のようなバランスでうまく成り立っているのです。一種類混ぜるだけで、生態系が全滅する、ということも決して大げさなことではないのです。生態系には「キーストーン種」という、個体数は少ないもののその種がいなくなるとその生態系が成り立たなくなる、というようなものもあります。
キーストーン種一種がいなくなるだけでほかの何万種類という生物に影響を与えうるのです。そのぐらいデリケートなバランスによって生態系が成り立っていることを考えると、バラスト水の与える影響がどれほど大きなものとなるかお分かりになるでしょう。

長距離輸送により、確かに便利な世の中になりました。しかし、思わぬところで環境への影響というのは起こりうるのです。

汚染物質を出しているわけでも、生物を直接殺しているわけではないだけに、影響が出始めてからでないと気づきにくいものです。できるだけ自分の行動の結果がどんな影響を与えるのか慎重に検討をすることが、最悪の結果を回避する一番の予防策となるのです。