海水浴に潜む罠

 誰しも海水浴は一度くらい入ったことがありますよね?そのくらい広く普及しているレジャーである「海水浴」。しかし、海水浴もきちんとマナーやモラルを守らないと、沿岸環境に大きなインパクトを与えかねないのです。
 海水浴に来た人、特に女性は日焼け止めを塗ります。この日焼け止めを塗ったまま海水中に入ってしまうと、日焼け止めに含まれる化学成分が海水中に流出する可能性があるのです。有効成分として含まれる銅ナノ粒子や亜鉛ナノ粒子といった金属成分が、海洋生物の発生段階である胚の細胞に悪影響を及ぼすという研究がEnvironmental Science and Toxicologyに掲載されました。これによると、ナノ粒子に晒されたウニの胚は、幼生まで成長できないか、成長しても餌の摂取量が低下する可能性があるそうです。一人ひとりの日焼け止めからの流出量は微々たるものですが、大規模な海水浴場では一箇所に数万人が集中することで、大量のナノ粒子が海水に溶け出してしまいます。
また、海水浴客のマナーやモラルも大きな問題となっています。自分たちの持ち込んだゴミを海に放ってしまうと、それらのゴミをうみどりや海棲生物が飲み込んでしまいます。直接死に至らしめなくとも、活動量の低下や餌の捕食影響をあたえることがあり、これらの生物にとっては大変危険なのです。さらに、一部の人間による生物の乱獲も問題となっています。本来捕獲の禁止されている海域や生物を捕獲することで、その個体数の保全を妨げる事になります。レジャーとして広く認知されているため、海に来る人間の数も膨大なものとなり、管理や規制がうまく働かないことが問題となっています。一人ひとりが環境への影響を与えないよう意識をすることが非常に大切なのです。
 個人レベルの影響だけではなく、リゾート開発による環境破壊も大きな問題をはらんでいます。観光客を集客するために、大規模なホテルやレジャー施設の建設、付近の道路整備といったことが行われます。環境アセスメントを徹底して行い、環境への影響を最小限にする努力がなされればよいのですが、現実には後期やコストの面を優先することにより、環境への影響は考慮されないという現実があります。環境破壊によるしっぺ返しは時間差でやって来るために、開発している段階ではおざなりにされてしまうのです。一度破壊されてしまった生態系をもとに戻すことは非常に困難なのです。
海水浴は楽しいレジャーである反面、自然の中で遊ぶものですのでそれだけ環境への負荷を与える可能性もあります。自然の恵みに感謝しながら楽しむという姿勢を持つことが大切なのです。