埋め立てと環境への影響

人類は海を埋め立てることで陸地を広げ、領地と人口を拡大してきました。埋め立て技術は現在の人類の規模を考えると必須の技術といえます。しかし、無計画な埋め立てや環境アセスメント(環境影響評価)を適切に行わない埋め立ては、著しい環境影響を与えるのです。

 埋め立て地は廃棄物や土砂を大量に使用することで陸地を形成します。つまりこれまで水があったところに無理やり陸を流し込むわけです。そうなると、海岸や湾に生息していた生物は死滅してしまい、周囲の生態系にも大規模な影響を与えます。干潟や藻場などはプランクトンや底生成物が交わる重要な環境です。

これらの場所は有機物の分解が盛んにおこなわれている場所です。したがってこれらの環境が埋め立てられると、富栄養化問題が進行し赤潮や青潮が発生してしまうのです。

生態系への影響だけではなく、養殖場への影響も懸念されています。養殖場で育てられる生物は、稚魚から育てられるものが多く、そういった生育段階では環境の微細な変化が大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。距離的に遠くとも酸い環境はつながっていますので、稚魚を全滅させることもあり得るのです。

さらに、物理的に沿岸環境が破壊されるだけではなく、工事の際に流出した重金属や有機化合物が長期間環境中に残留します。これらの物質は生物に蓄積し、生物濃縮を起こすため、非常に危険です。

また生物濃縮を起こした物質を取り込むと人間への健康影響も出始め、特に子供や老人に深刻な影響が起こりえます。有機化合物は特に分解が遅いことでも知られ、一度埋め立てによる流出が生じると数十年にわたって高濃度を保ちます。

増大した人類の生産活動を支えるには、埋め立てはやむを得ないのかもしれません。しかし、高度経済成長期のような、後先を考えない埋め立てを行ってしまうと取り返しのつかない結果を引き起こすのです。

その最たるものが四大公害に代表される、人への深刻な健康影響なのです。埋め立て事業を行う際には、できるだけ環境への負荷、生態系への影響を少なくするよう配慮した工事計画や資材を用いる必要があります。
また、失われた環境に匹敵するものを別の場所に再現したり補てんすることも重要です(環境ミティゲーション)。
何もしないと、埋め立て後の沿岸は貧しい生態系となるため、陸地は拡大したものの得られる資源は減少するということになってしまうのです。

暴走した開発はいつか私たち自身の身に返ってきます。将来のためにも持続可能な開発を行い、自然と調和した社会づくりをすることが大切なのです。