海洋モニタリング

海洋の環境を把握するためには定期的な状況確認が不可欠です。そのため、現在世界中で海洋モニタリングが行われています。人の生活に密接にかかわる沿岸域を調査するものや、遠洋の生物個体数を調査するもの、海底の泥の組成を調べるものなど多岐にわたります。

 沿岸域のモニタリングでは、陸域起源の汚染物質の分布や生物モニタリングが調べられています。
人為的な活動による環境負荷が高い水域では、特に重金属や有機化合物、ダイオキシンなどの物質が重点的に調べられています。
これらの物質の濃度は沿岸域で高く沖合などで低いことから、やはり陸域からの汚染が沿岸に集積していることを示しています。
沿岸域の生物を採取し、内臓に蓄積した濃度を調べることで生物への影響を測ることができます。

東京湾のダイオキシン濃度は、発生量の減少から時間が経過しているにもかかわらず高いままです。こういった時間差で生じる影響についても海洋のモニタリングを通して発覚したことです。

 化学物質だけではなく生物調査も行われています。イボニシやイガイを採取し雌雄をカウントすることで、環境ホルモンの影響が明らかになりました。
環境ホルモンの蓄積により性攪乱が生じ、雄が雌化するということが問題となっています。また地形と絡めての調査により、沿岸域の地形変動や埋め立てによる生物影響を調べることができます。

こういったモニタリングにより、適切な公共事業や護岸活動をすることができるため、定期的なモニタリングは非常に重要な知見を提供しています。

また、気候の変動や気流と海水も互いにに大きな影響を与えあっています。そのため、遠洋の海水温や水面を調べることで気候変動の影響や異常気象を調べる助けになっています。エルニーニョ現象やラニーニャ現象は海水温と気流の関係で生じるもので、これらの現象によっては農作物の出来や台風の発生時期などが変わってきますので、注目されています。

 海洋モニタリングによって事前に様々な情報がわかるようになり、人為活動の影響や自然災害に対策を立てることができるようになりました。

しかし、遠洋や海底などの調査は時間と手間が膨大にかかること、かけた費用に見合う結果が得られないリスクがあること、調査手法がそもそも編み出されていないといった問題があり、十分な調査はまだなされていません。
そのため、効率の良い新たな研究手法の開発が進められています。

ペレットウォッチや「浮き」を使った調査など低コストで広範囲を調べられる調査法や、一般の人が特殊な技術のいらない方法といったものが期待されています。