専門家による確認は未実施です。現地の判断には、最新の公式情報と管理者の指示を優先してください。
同じ海岸を、比べてみよう
干潮の例
海面が低くなりきった状態。
満潮の例
海面が高くなりきった状態。
満潮・干潮は、海面の高さの折り返し
「潮が満ちている途中」と「満潮」は違います。
海面の高さを潮位、その高さが周期的に変わる現象を潮汐といいます。海面が上がってから下がる折り返しが満潮、下がってから上がる折り返しが干潮です。
上の図で海面を動かすと、同じ地形でも水に隠れる範囲が変わります。満潮・干潮は海面の高さについての言葉で、その場所を歩けるか、泳げるかを示すものではありません。
もう一歩:毎日2回、同じ時刻に起こる?
多くの海岸では満潮・干潮が一日におおむね2回ずつあります。ただし、場所や時期で回数は変わり、2回の高さもそろうとは限りません。月も地球の周りを移動するため時刻は日ごとにずれます。前日の時刻に一定の分数を足して現地の予定を決めず、行く日の潮位表を確かめましょう。
月の引力は、場所によって少し違う
① 月は、地球全体を引く
どの場所も月に引かれますが、近い側ほど強く引かれます。
② 中心と比べると、両側へ
遠い側が月に反発するのではなく、中心より弱く引かれるための差です。
地球全体が月に引かれ、その引かれ方の差が潮を起こします。
月に近い側は、地球の中心より強く月に引かれます。遠い側も月に引かれますが、中心より弱くなります。この差を地球の中心と比べると、月の側と反対側へ引き伸ばすような働きになります。
この潮を起こす働きを起潮力といいます。太陽にも同じような働きがあります。地球の両側に海面が盛り上がる図は、この原理を単純化したものです。
もう一歩:月が真上なら、必ず満潮?
実際の海には大陸や海底の起伏があり、海の深さや湾の形もさまざまです。潮の変化が伝わる速さや時刻は場所ごとに違うため、月の位置だけではその海岸の満潮時刻を決められません。模型のふくらみが、そのまま地球を一周しているわけではありません。
大潮・小潮は、満ち引きの差の大小
大潮:差が大きい頃
新月の配置例。満月の頃も、月と太陽の働きが重なる向きになります。
小潮:差が小さい頃
上弦・下弦の月の頃。月と太陽の働きで、満ち引きの差が小さくなります。
大潮は潮位差が大きい頃、小潮は小さい頃です。
新月・満月の頃は、月と太陽の起潮力が重なる向きになり、満潮と干潮の差が大きくなります。これが大潮です。上弦・下弦の月の頃は、その差が小さくなり、小潮になります。
「満潮」は一日の中での海面の状態、「大潮」は日々の潮位差についての言葉です。大潮にも干潮があり、小潮にも満潮があります。
もう一歩:月の形だけで予定を決めてよい?
新月や満月の当日だけが大潮、という意味ではありません。前後の日を含む変化で、実際の時刻と高さは場所によって違います。大潮・小潮の名前を遊泳の可否に置き換えず、当日の潮位表、気象情報、現地の案内を確認します。
潮位表は「場所・日付・時刻・高さ」を読む
学習用の架空データ · 現地の予測には使えません
9時:干潮 40cmここから海面が上がります。
12時:100cmまだ満潮ではなく、上昇中。
15時:満潮 160cmここから海面が下がります。
満潮・干潮の時刻に加えて、その間の変化を見ます。
横軸は時刻、縦軸は基準となる面から測った海面の高さです。曲線が右上がりなら海面が上昇中、右下がりなら下降中。出かける時間だけでなく、帰る時間までたどってみましょう。
気象庁の潮位表は予測値(天文潮位)です。気圧や風などの影響で、実際の潮位とは差が出ます。また、潮位100cmは「足元の水深が1m」という意味ではありません。海底や道の高さは場所ごとに違います。
もう一歩:公式の潮位表を読むときの注意
対象の地点と日付、cmなどの単位、潮位表基準面か標高かを確かめます。気象庁の時刻は日本標準時です。高さの基準が違う資料の数字は、そのまま比較できません。毎時潮位のグラフは1時間ごとの値を使うため、正確な満干潮の時刻と高さは「満潮・干潮」の表でも確認してください。
潮が満ちると、帰り道が先に隠れることも
1. 潮が低い例
低い地形が水面の上に見えています。
2. 上昇途中の例
水に隠れる範囲が広がっていきます。
3. 道が隠れた例
岩場が乾いていても、陸への道はありません。
今いる岩場が乾いていても、帰れるとは限りません。
低い道が水に隠れ、少し高い岩場だけが海に残ることがあります。海上保安庁は、引き潮のときに岩場へ渡り、潮が満ちて戻れなくなった事例を紹介しています。
出発前に潮の変化と天気を調べ、現地の立入制限や管理者の案内を確認します。海の状態は変わるため、潮位表の数字だけで通行できる時間を決めないことが大切です。
もう一歩:満潮の時刻だけ気をつければよい?
道の高さによっては、満潮になる前に水に隠れます。波が打ち寄せる範囲も海面の高さだけでは決まりません。風や低気圧で水位が上がることもあるため、干潮なら安心とはいえません。このページの図から、現地の通行可能時刻を読み取ることはできません。
LET’S THINK
ちょっと、考えてみよう。
学習用グラフでは9時が干潮、15時が満潮です。「12時はまだ満潮ではないから、岩場への道は通れる」と考えてよいでしょうか。
考えるヒント・解説を見る
それだけでは判断できません。12時にはすでに海面が上昇中で、低い道は満潮より前に水に隠れることがあります。さらに、グラフは架空の例です。実際にはその場所の地形、行く日の潮位・天気、現地の案内を確認する必要があります。
教室やおうちで広げるなら
まず海岸の比較図で変化を観察し、次に学習用グラフの9時・12時・15時を比べます。「図からわかること」と「現地の情報がないと判断できないこと」を分けて話し合ってみましょう。
出典・参考資料
以下の資料を参考に、文章と模式図を独自に構成しています。資料の掲載元による監修・推薦を意味するものではありません。
- [1] 気象庁|潮汐の仕組み ↗満干潮の周期、月と太陽、大潮・小潮
- [2] 気象庁|潮位表の解説 ↗予測値、基準面、時刻、毎時グラフと満干潮の表の違い
- [3] 気象庁|潮汐の用語集 ↗潮位・潮汐・起潮力・日潮不等
- [4] NOAA|What Causes Tides?(英語) ↗月の引力の場所による差と、原理の模型の限界
- [5] NOAA|月が真上なら満潮になる?(英語) ↗地形・海の深さと、場所ごとの潮汐の違い
- [6] 気象庁|潮位表 ↗地点・日付を選んで確認する公式の予測情報
- [7] 海上保安庁|海で遊ぶ時の注意 ↗潮が満ちて帰れなくなった事例と事前確認
- [8] 気象庁|高潮 ↗気圧・風による水位上昇、干潮時も注意が必要な理由
初版:2026-09-20 / 更新:2026-09-20 / 資料確認:2026-09-20 / 編集方針と更新について