安全教材の制作稿

専門家による確認は未実施です。現地の判断には、最新の公式情報と管理者の指示を優先してください。

図解 01

同じ海岸を、比べてみよう

干潮の例

海面が低いときの海岸。砂浜と岩場の広い範囲が見えている。

海面が低くなりきった状態。

満潮の例

同じ海岸で海面が高くなり、低い砂浜と岩場が水に隠れた様子。

海面が高くなりきった状態。

架空の海岸の断面図。高さ・時間・波・流れは実際の海を再現していません。
覚えておきたいこと今の海面だけでなく、これからの変化を知ろう。
01

満潮まんちょう干潮かんちょうは、海面の高さの折り返し

「潮が満ちている途中」と「満潮まんちょう」は違います。

海面の高さを潮位、その高さが周期的に変わる現象を潮汐ちょうせきといいます。海面が上がってから下がる折り返しが満潮まんちょう、下がってから上がる折り返しが干潮かんちょうです。

上の図で海面を動かすと、同じ地形でも水に隠れる範囲が変わります。満潮まんちょう干潮かんちょうは海面の高さについての言葉で、その場所を歩けるか、泳げるかを示すものではありません。

もう一歩:毎日2回、同じ時刻に起こる?

多くの海岸では満潮まんちょう干潮かんちょうが一日におおむね2回ずつあります。ただし、場所や時期で回数は変わり、2回の高さもそろうとは限りません。月も地球の周りを移動するため時刻は日ごとにずれます。前日の時刻に一定の分数を足して現地の予定を決めず、行く日の潮位表を確かめましょう。

参考資料:[1][2][3]

02

月の引力は、場所によって少し違う

図解 02「引かれる強さの差」に注目

① 月は、地球全体を引く

月の引力はすべて月の向き。遠い側は弱く、地球の中心、近い側の順に強くなる。 地球 遠い側中心近い側 弱い強い

どの場所も月に引かれますが、近い側ほど強く引かれます。

② 中心と比べると、両側へ

地球の中心と比べた引力の差。近い側は月の向き、遠い側は反対向きとなり、引き伸ばす働きになる。 中心に対する差の向き 引き伸ばすような働き 点線は原理を示す模型

遠い側が月に反発するのではなく、中心より弱く引かれるための差です。

矢印の長さ・天体の大きさ・距離は説明用に誇張しています。大陸や海底を省いた原理の模型で、実際の満潮の位置や時刻を表していません。

地球全体が月に引かれ、その引かれ方の差が潮を起こします。

月に近い側は、地球の中心より強く月に引かれます。遠い側も月に引かれますが、中心より弱くなります。この差を地球の中心と比べると、月の側と反対側へ引き伸ばすような働きになります。

この潮を起こす働きを起潮力きちょうりょくといいます。太陽にも同じような働きがあります。地球の両側に海面が盛り上がる図は、この原理を単純化したものです。

もう一歩:月が真上なら、必ず満潮?

実際の海には大陸や海底の起伏があり、海の深さや湾の形もさまざまです。潮の変化が伝わる速さや時刻は場所ごとに違うため、月の位置だけではその海岸の満潮まんちょう時刻を決められません。模型のふくらみが、そのまま地球を一周しているわけではありません。

参考資料:[4][5]

03

大潮・小潮は、満ち引きの差の大小

図解 03天体の配置と、潮位差をセットで

大潮:差が大きい頃

太陽、月、地球が並ぶ新月の配置例。満潮と干潮の高さの差が大きい。満月の頃も大潮になる。 太陽地球 満潮干潮

新月の配置例。満月の頃も、月と太陽の働きが重なる向きになります。

小潮:差が小さい頃

太陽と月が地球から見て直角方向にある半月の配置例。満潮と干潮の高さの差が小さい。 太陽地球 満潮干潮

上弦・下弦の月の頃。月と太陽の働きで、満ち引きの差が小さくなります。

下の帯は同じ場所での潮位差を比べる模式図です。天体の大きさ・距離や潮位差は実際の比率ではありません。

大潮は潮位差が大きい頃、小潮は小さい頃です。

新月・満月の頃は、月と太陽の起潮力きちょうりょくが重なる向きになり、満潮まんちょう干潮かんちょうの差が大きくなります。これが大潮です。上弦・下弦の月の頃は、その差が小さくなり、小潮になります。

満潮まんちょう」は一日の中での海面の状態、「大潮」は日々の潮位差についての言葉です。大潮にも干潮かんちょうがあり、小潮にも満潮まんちょうがあります。

もう一歩:月の形だけで予定を決めてよい?

新月や満月の当日だけが大潮、という意味ではありません。前後の日を含む変化で、実際の時刻と高さは場所によって違います。大潮・小潮の名前を遊泳の可否に置き換えず、当日の潮位表、気象情報、現地の案内を確認します。

参考資料:[1][2]

04

潮位表は「場所・日付・時刻・高さ」を読む

図解 04グラフを、時刻に沿ってたどろう

学習用の架空データ · 現地の予測には使えません

1日の潮位変化を読むための架空のグラフ 横軸は0時から24時、縦軸は架空の基準面からの高さ0から200センチメートル。満潮は3時と15時に160センチ、干潮は9時と21時に40センチ。9時から15時は上昇中。 0 100 200 高さ(cm) 0時 6時 12時 18時 24時 満潮干潮満潮干潮

9時:干潮 40cmここから海面が上がります。

12時:100cmまだ満潮ではなく、上昇中。

15時:満潮 160cmここから海面が下がります。

高さの基準面・時刻・数値はすべて学習用。周期と高さを単純化しています。実際は毎日同じ形にはなりません。薄緑の帯はこの例で海面が上がる区間を示し、安全に活動できる時間帯を示すものではありません。

満潮まんちょう干潮かんちょうの時刻に加えて、その間の変化を見ます。

横軸は時刻、縦軸は基準となる面から測った海面の高さです。曲線が右上がりなら海面が上昇中、右下がりなら下降中。出かける時間だけでなく、帰る時間までたどってみましょう。

気象庁の潮位表は予測値(天文潮位)です。気圧や風などの影響で、実際の潮位とは差が出ます。また、潮位100cmは「足元の水深が1m」という意味ではありません。海底や道の高さは場所ごとに違います。

もう一歩:公式の潮位表を読むときの注意

対象の地点と日付、cmなどの単位、潮位表基準面か標高かを確かめます。気象庁の時刻は日本標準時です。高さの基準が違う資料の数字は、そのまま比較できません。毎時潮位のグラフは1時間ごとの値を使うため、正確な満干潮かんちょうの時刻と高さは「満潮まんちょう干潮かんちょう」の表でも確認してください。

気象庁の潮位表を開く ↗

参考資料:[2][6]

05

潮が満ちると、帰り道が先に隠れることも

図解 05岩場より先に、道が隠れる

1. 潮が低い例

陸と岩場が低い道でつながっている。 岩場

低い地形が水面の上に見えています。

2. 上昇途中の例

海面の上昇により低い道の多くが水に隠れている。 岩場

水に隠れる範囲が広がっていきます。

3. 道が隠れた例

低い道がすべて水に隠れ、岩場だけが陸から離れて海に残っている。 岩場

岩場が乾いていても、陸への道はありません。

架空の岩場を上から見た模式図。各段階の時刻・所要時間を示すものではありません。道が見えている図も、通行の安全を保証しません。

今いる岩場が乾いていても、帰れるとは限りません。

低い道が水に隠れ、少し高い岩場だけが海に残ることがあります。海上保安庁は、引き潮のときに岩場へ渡り、潮が満ちて戻れなくなった事例を紹介しています。

出発前に潮の変化と天気を調べ、現地の立入制限や管理者の案内を確認します。海の状態は変わるため、潮位表の数字だけで通行できる時間を決めないことが大切です。

もう一歩:満潮の時刻だけ気をつければよい?

道の高さによっては、満潮まんちょうになる前に水に隠れます。波が打ち寄せる範囲も海面の高さだけでは決まりません。風や低気圧で水位が上がることもあるため、干潮かんちょうなら安心とはいえません。このページの図から、現地の通行可能時刻を読み取ることはできません。

参考資料:[7][8]

LET’S THINK

ちょっと、考えてみよう。

学習用グラフでは9時が干潮かんちょう、15時が満潮まんちょうです。「12時はまだ満潮まんちょうではないから、岩場への道は通れる」と考えてよいでしょうか。

考えるヒント・解説を見る

それだけでは判断できません。12時にはすでに海面が上昇中で、低い道は満潮まんちょうより前に水に隠れることがあります。さらに、グラフは架空の例です。実際にはその場所の地形、行く日の潮位・天気、現地の案内を確認する必要があります。

教室やおうちで広げるなら

まず海岸の比較図で変化を観察し、次に学習用グラフの9時・12時・15時を比べます。「図からわかること」と「現地の情報がないと判断できないこと」を分けて話し合ってみましょう。

出典・参考資料

以下の資料を参考に、文章と模式図を独自に構成しています。資料の掲載元による監修・推薦を意味するものではありません。

初版:2026-09-20 / 更新:2026-09-20 / 資料確認:2026-09-20 / 編集方針と更新について